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国立大学法人東京農工大学
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テニュアトラック教員の紹介

栁澤 実穂 (Yanagisawa Miho)

研究院 工学研究院(機構)
部門 先端物理工学部門
研究分野 ソフトマター物理,生物物理
キーワード モデル細胞,膜,高分子溶液,相分離,ゲル
URL http://web.tuat.ac.jp/~m_yanagi/
職歴

・2007年4月~2009年3月:日本学術振興会特別研究員(DC1)
・2009年4月~2011年4月:日本学術振興会特別研究員(PD)
・2011年5月~2014年4月:九州大学大学院理学研究院物理学部門 助教
・2014年5月~現在:東京農工大学 工学研究院(テニュアトラック推進機構)テニュアトラック特任准教授

学歴

・2005年3月:お茶の水女子大学 理学部 物理学科 卒業
・2007年3月:お茶の水女子大学大学院 人間文化研究科 物質科学専攻 博士前期課程 修了
・2009年3月:お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 理学専攻 博士後期課程 修了 博士(理学)

受賞歴

・2011年9月:The 3rd Asian Symposium on Advanced Materials, Excellent Presentation Award
・2012年3月:日本物理学会, 第6回若手奨励賞
・2012年6月:(株)資生堂, 第5回資生堂女性研究者サイエンスグラント

主な論文・解説

・M. Yanagisawa, M. Imai, T. Masui, S. Komura and T. Ohta, “Growth dynamics of domains in ternary fluid vesicles”, Biophys. J., 92:115-125 (2007).
・M. Yanagisawa, M. Imai, and T. Taniguchi, “Shape deformation of ternary vesicles coupled with phase separation”, Phys. Rev. Lett., 100:148102 (2008)
・M. Yanagisawa, M. Imai, and T. Taniguchi, “Periodic modulation of tubular vesicles induced by phase separation”, Phys. Rev. E, 82:051928, (2010)
・M. Yanagisawa et al., “Oriented reconstitution of a membrane protein in a giant unilamellar vesicle: Experimental verification with the potassium channel KcsA”, J. Am. Chem. Soc., 133:11774-11779, 2011.
・M. Yanagisawa, N. Shimokawa, M. Ichikawa and K. Yoshikawa, “Micro-segregation induced by bulky-head lipids: Formation of characteristic patterns in a giant vesicle”, Soft matter, 8:488-495, (2012)
・柳澤実穂, 「脂質膜小胞における膜内相分離と膜変形」, 日本物理学会誌, vol.68 (8): 534-537, 2013年8月.
・M. Yanagisawa, T. Yoshida, M. Furuta, S. Nakata, and M. Tokita, “Adhesive force between paired microdroplets coated with lipid monolayers”, Soft Matter, 9:5891-5897, (2013)
・M. Yanagisawa, T. Sakaue, and K. Yoshikawa, “Characteristic behavior of crowding macromolecules confined in cell-sized droplets”., Int. Rev. Cell Mol. Biol., 307: 175-204, (2014)
・K. Fujiwara and M. Yanagisawa, “Generation of giant unilamellar liposomes containing biomacromolecules at physiological intracellular concentrations using hypertonic conditions”, ACS Synth. Biol., (DOI: 10.1021/sb4001917).

研究紹介

細胞をソフトマターの立場から捉えると、高分子水溶液からなるミクロ液滴を柔らかな膜が覆ったものといえます。それゆえ、ミクロ空間で高分子集合体がみせる新規な相転移や臨界現象を見出すことで生命現象の物理的理解が深まります。それと同時に、新たなミクロ材料の開発へも取り組むことができます。この観点から、主に2つの研究を行ってきました。1つは、脂質膜小胞をモデル細胞として用いた研究です。モデル細胞の膜成分が多成分の場合、脂質膜の相分離と外力による膜変形が共同し、形の多様性が生まれることを見出しています。この現象の物理的解釈から実際の細胞形状の変化へ迫ってきました。現在は、内部構造や複数の細胞間の相互作用、外界との物質輸送を備えた、実際の生物に近いモデル多細胞を作製しています。これにより、生命が細胞集合体の形と構造をいかに制御するかという、生命の動的自己組織化の謎を解明に迫っています。2つめは、ミクロ液滴内での高分子の相分離とゲル化によるミクロゲルの創成です。ミクロ空間では、相分離界面や界面濡れの影響が支配的となります。これらの支配因子を制御することで、非球対称なミクロゲルの形を自発的に創成することに成功しています。今後は、より汎用性の高い場の制御によるミクロゲルの形状制御機構の確立を目指します。このようにソフトマター物理学を軸とした、人工多細胞による生物の形と構造の制御機構の解明と、場の制御による多様なミクロゲル形状の自発的創成の研究を展開しています。本研究は非平衡物理学や非線形科学の進展へ大きく貢献するだけでなく、医療品や食品などの材料の設計に対して有効な制御法をもたらすことが期待されます。

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本学のテニュアトラック事業について

研究スタート資金や研究スペース、教務の軽減などにおいて大変恵まれており、若手研究者が独立した研究室をスムーズに立ち上げることができる優れた制度であると考えております。また、全員分のテニュアポストを用意することが明記されているため、安心して自分の研究を展開することができます。さらに、数多く在籍するテニュアトラック教員間の交流を介して、自分の立ち位置を再確認したり、また共同研究により互いに高め合ったりすることができると思います。

今後の抱負

ここ十数年におけるソフトマター物理学、人工細胞研究、生命科学、それぞれの目覚ましい発展により、物理学・化学・生物学の交差点が克明になってきています。この交差点を辿ることで、物理学による生命現象の記述や機能制御が可能な時代が始まろうとしています。このような萌芽的かつ挑戦的な分野の発展に貢献し、物理学の新たなる可能性に迫りたいと思います。