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国立大学法人東京農工大学
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テニュアトラック教員の紹介

渡辺 峻 (Watanabe Shun)

研究院 工学研究院
部門 先端情報科学部門
研究分野 情報理論
キーワード 情報理論的セキュリティ,多端子情報理論,量子情報
URL https://sites.google.com/site/shunwatanabeshomepage/
職歴

・2007年4月〜2009年3月:日本学術振興会特別研究員(DC1)
・2009年4月〜2015年2月:徳島大学 大学院ソシオテクノサイエンス研究部 助教
・2013年4月〜2015年2月:日本学術振興会海外特別研究員
・2013年4月〜2015年3月:University of Maryland, Visiting Assistant Professor
・2015年2月〜現在:東京農工大学 大学院工学研究院 准教授

学歴

・2005年3月:東京工業大学 工学部 情報工学科卒業
・2007年3月:東京工業大学 理工学研究科 集積システム専攻 修士課程修了
・2009年3月:東京工業大学 理工学研究科 集積システム専攻 博士課程修了

受賞歴

・2009年:丹羽保次郎記念論文賞(東京電気大学)
・2009年:SITA奨励賞(情報理論とその応用学会)
・2010年:手島記念研究賞 博士論文賞(東京工業大学)
・2011年:電子情報通信学会論文賞(電子情報通信学会)
・2011年:船井研究奨励賞(船井情報科学振興財団)

主な論文・解説

・S. Watanabe, "Private and Quantum Capacities of More Capable and Less Noisy Quantum Channels," Physical Review A, vol. 85, no. 1, p. 012326, January 2012.
・S. Watanabe, "The Rate-Distortion Function for Product of Two Sources with Side-Information at Decoders," IEEE Transactions on Information Theory, vol. 59, no. 9, pp. 5678-5691, September 2013.
・H. Tyagi and S. Watanabe, "A Bound for Multiparty Secret Key Agreement and Implications for A Problem of Secure Computing," in Proceedings of EUROCRYPT 2014, Springer LNCS 8441, pp. 369-386, May 2014.
・S. Watanabe and Y. Oohama, "The Optimal Use of Rate-Limited Randomness in Broadcast Channels with Confidential Messages," IEEE Transactions on Information Theory, vol. 61, no. 2, pp. 983-995, February 2015.

研究紹介

我々の研究室では情報理論の研究を行っています.特に,暗号•セキュリティに関連するテーマを主に取り組んでいます.近年の情報通信技術の発展に伴い,情報セキュリティは益々重要になってきています.現在インターネット等で広く使われている公開鍵暗号は現実的時間内には解読されないという意味での,いわゆる計算量的安全性が保証されています.一方,我々が研究対象としている情報理論的暗号は,攻撃者の計算資源に仮定をおかずに安全性が保証されることから,近年注目を集めています.しかしながら,そのような強い安全性を有するシステムを実現するためには,正規ユーザが相関のある信号を観測する等,様々なリソースを必要とし,それらのリソースを所望のタスクを実現するために如何に効率よく使うかといったことが重要になってきます.本研究室では,所望のタスクを安全に実現するための効率の理論限界を情報理論の立場から解明することを目指しています.研究成果の一部を以下に紹介します:

(1) 秘密鍵共有ならびに秘匿計算の非漸近的な上界の導出
秘密鍵共有とは,送受信者間で安全な通信を実現するための鍵(パスワード)を共有する問題で,暗号における最も基本的な問題のひとつになります.また,秘匿計算とは二人(もしくは複数)のユーザが,互いのデータを開示することなく所望の関数(例えばどちらの財産が大きいか?)を計算する問題で,こちらも暗号における基本的な問題のひとつになります.従来の研究では,これらのタスクの実現効率の上界について,漸近的な評価が主に行われていました.我々の研究では,統計的仮説検定をこれらのタスクに帰着させることで,非漸近的な上界を導出することに成功しました.     

(2) 盗聴通信路における最適な乱数消費量の解明
盗聴通信路とは,例えば無線通信のように正規のユーザ以外にも送信信号が傍受され得る状況において安全な通信を行う際のモデルで,情報理論において長く研究されていました.盗聴通信路では通常,盗聴者を撹乱し安全な通信を実現するために,確率的符号化と呼ばれる,ひとつのメッセージに複数の送信信号を割り当てる符号化が使用されます.従来の研究では,この確率的符号化を実現する際には,無制限に乱数を使用できると仮定し研究されていました.我々の研究では,乱数も安全な通信システムを実現するためのリソースであると考え,乱数消費量まで考慮した際の最適な符号化法を解明することに成功しました.

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本学のテニュアトラック事業について

若いうちから自分の研究室を運営し,独自のテーマで研究をする機会をいただけるのは,大変ありがたいことだと感じています.また,潤沢なスタートアップ資金に加え,大学運営業務の軽減等は,研究室をスタートさせ軌道にのせる上で非常に助けになります.まずはテニュアを取得し,大学に少しでも多く貢献できるよう頑張りたいと思います.

今後の抱負

情報理論で研究対象としている問題の多くは,我々のコミュニティーの研究者だけでなく,計算機科学の研究者にも少し違ったアプローチで研究されており,それらの論文を読むことで,今までになかった視点を持つことができ非常に勉強になっています.今後は情報理論の枠にとらわれず,様々な分野の人と交流し,斬新な研究ができるよう頑張りたいと思います.