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国立大学法人東京農工大学
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テニュアトラック教員の紹介

森 啓二 (Mori Keiji)

研究院 工学研究院
部門 応用化学部門
研究分野 有機合成化学
キーワード 酸化還元、ヒドリド転位、炭素ー水素結合官能基化
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職歴

・2005年4月〜2008年3月:日本学術振興会特別研究員(DC1)
・2008年4月〜2015年3月:学習院大学理学部化学科助教
・2015年4月〜現在:東京農工大学 大学院工学研究院 准教授

学歴

・2003年3月:東京工業大学 理学部 化学科 卒業
・2005年3月:東京工業大学 大学院理工学研究科 化学専攻 博士前期課程 修了
・2008年3月:東京工業大学 大学院理工学研究科 化学専攻 博士後期課程 修了 博士(理学)

受賞歴

・2006年:日本化学会第86春季年会 学生講演賞
・2012年:JSPC(日本プロセス化学会)優秀賞
・2012年:有機合成化学協会 第一三共研究企画賞
・2015年:日本化学会 第64回進歩賞

主な論文・解説

・K. Mori, K. Ehara, K. Kurihara, T. Akiyama: “Selective Activation of Enantiotopic C(sp3)–Hydrogen by Means of Chiral Phosphoric Acid: Asymmetric Synthesis of Tetrahydroquinoline Derivatives”, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 6166.
・K. Mori, S. Sueoka, T. Akiyama: “Expeditious Construction of a Carbobicyclic Skeleton via sp3-C−H Functionalization: Hydride Shift from an Aliphatic Tertiary Position in an Internal Redox Process”, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 2424.
・K. Mori, K. Kurihara, S. Yabe, M. Yamanaka, T. Akiyama: “Double C(sp3)–H Bond Functionalization Mediated by Sequential Hydride Shift/Cyclization Process: Diastereoselective Construction of Polyheterocycles”, J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 3744.

研究紹介

 医薬・農薬など有用な中間体であるファインケミカルズの合成には、数多くの行程を必要とします。当然ながらその過程においては、多量の廃棄物の副生を余儀なくされます。近代社会で環境問題が大きく取りざたされることとも相まって、近年、環境調和型プロセスへの需要が急速に高まっています。様々な化合物中に偏在する炭素−水素結合を直接変換する反応(C–H結合官能基化反応)は、その要件を満たす手法として近年大きな注目を集めています。その有用性からこれまでに様々な手法が開発されてきましたが、最も不活性なC(sp3)–H結合の変換は、有機合成手法の洗練された現在でもなお、困難な課題です。また従来法では、高活性・毒性のある遷移金属触媒や、反応後に廃棄物となる酸化剤の使用を要するため、更なる低環境負荷型変換法の開拓が強く望まれていました。
 近年我々の研究グループではこの課題の解決を目指し研究に取り組んだ結果、ヒドリド転位を介する分子内での酸化還元を利用した、遷移金属や酸化剤を必要としない合成手法(「分子内redox型環化反応」)の開発に成功しました。本手法は(1)不活性なC(sp3)–H結合の直接的変換、(2)単純な酸(Brønsted酸やLewis酸)による触媒反応、(3)機能性物質の主要骨格である多環式化合物の合成、という多くの特徴を併せ持つ魅力的な反応系です。最近は、この反応を起点とした複雑な多環性骨格の構築法や生理活性化合物の合成を目指し、日々研究に取り組んでいます。

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本学のテニュアトラック事業について

本プログラムでは、准教授でも教授の先生方と同等のスペースを配分されるだけでなく、潤沢なスタートアップ資金も与えられるため、若手研究者が研究室を主催するにあたってのこの上ない制度であると考えております。同じ立場であるテニュアトラック教員も多く、若手の研究者同士で切磋琢磨して研究を進めていけることも大きな特徴です。

今後の抱負

水素原子の移動を介することで、類例のない不活性なC(sp3)–H結合の直接変換による多環式骨格構築に成功しましたが、これまでの研究で得た知見に基づくと、水素以外の置換基の移動も十分に起こることが期待できます。この場合、“従来ある骨格を組み替えて新しいものをつくる”ことが可能となるため、これまでにない医薬・農薬・機能材料の創世につながる可能性を大きく秘めています。そのような、これまでは想像もできないような反応の開発が今後の目標です。また、大学は研究だけでなく重要な人材育成機関であることを強く意識し、社会の発展に大きく貢献できる人材の育成にも力を注いでいきたいと考えています。