国立大学法人東京農工大学
研究推進部 研究支援課
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トップページ > テニュアトラック教員の紹介 > 横山 光
職歴 | ・2018年04月~2021年03月:日本学術振興会 特別研究員PD |
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学歴 | ・2013年03月:東京農工大学 農学部 地域生態システム学科 卒業 |
受賞歴 | ・2017年07月:Aftab Patla Innovation Award (Best Student Presentation Award), 2017 World Congress of International Society of Posture and Gait Research (US). |
主な論文・解説 | ・okoyama, H., Sasaki, A., Kaneko, N., Saito, A., & Nakazawa, K. (2021). Robust identification of motor unit discharges from high-density surface EMG in dynamic muscle contractions of the tibialis anterior. IEEE Access, 9, 123901-123911. |
歩行運動は私たちにとって最も身近で重要な運動の一つです。全身には400個以上の骨格筋が存在し、その活動を巧みに制御することで転倒せずに安定した歩行が達成されます。膨大な数の筋を協調的に制御する必要のある複雑な歩行時の筋制御ですが、私たちは特に意識せずとも行っております。これには、歩行動作がヒトを含む動物にとって不可欠な動作であり、進化の過程で神経系に備わっている歩行動作パターンを自動的に生成するシステムが関連しております。従来の歩行の神経制御に関する研究は、ネコやマウスなど動物研究によりリードされてきました。しかしながら我々ヒトは二足直立歩行という特有の歩行形態を有しており、その神経制御様式も他の動物とは異なるということがわかってきております。
そこで、私はこれまでヒトの歩行神経制御メカニズムを明らかにすることを目的に、脳波・筋電図など非侵襲生体信号計測を用いて研究を行なってきました。特にヒトの二足直立歩行に特徴的な大脳皮質による歩行制御への関与を重点的に研究してきました。最近では、高密度表面筋電図を用いた単一運動ニューロンレベルでの神経筋制御メカニズムに関する研究、脊髄損傷患者やパーキンソン病患者の歩行障害の病態理解、将来的な工学応用を目指した脳波から歩行の運動情報を解読する研究も進めています(図1[研究全体像])。
まず、私も含め同時期に採用されたテニュアトラック准教授の先生方の年齢がとても若いことに驚きました。若い研究者に研究室を運営するという貴重な機会を与える農工大のテニュアトラック事業は、将来の研究者育成の観点で科学界に大きく貢献しうる事業だと思います。本学のテニュアトラック事業は、メンター教員、スタートアップ資金の提供などのサポートにより、若手研究者が独立した研究室を立ち上げ・運営する上では非常に恵まれた環境であると感じております。私の周りの研究者も、農工大のテニュアトラック教員は非常に恵まれており研究に集中できる素晴らしい環境だと評価しております。
まずは研究室の立ち上げを行い、研究環境を整えることに注力します。テニュアトラック期間は研究に集中できるよう配慮いただいていおりますので、思う存分研究活動を行っていきたいと思います。これまでは生理学的な研究を主に進めてきましたが、工学研究院所属になりましたので、歩行のリハビリテーションへの応用を目指した研究も進めていきたいです。また、農工大にはロボティクスや情報科学を専門に運動に関連した研究を行っている優秀な先生方がおりますので、共同研究も行えたら嬉しいです。