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国立大学法人東京農工大学
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テニュア取得教員の紹介

小山 哲史 (Koyama Satoshi)

研究院 農学研究院
部門 動物生命科学部門
研究分野 動物行動学
キーワード 行動生態学、行動生理学
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職歴

・2009年4月~2011年3月:久留米大学医学部公衆衛生学講座 助教
・2011年4月~12月:東京農工大学農学部 特別研究助教
・2012年1月~2016年12月:東京農工大学農学研究院 テニュアトラック助教
・2017年1月~現在:東京農工大学農学研究院 准教授(テニュア取得)

学歴

・東京農工大学農学部獣医学科 2004年卒業
・岐阜大学大学院連合獣医学研究科獣医学専攻博士課程 2009年修了

受賞歴
主な論文・解説

(2017年1月現在)
・Koyama S, Sakai C, Cathleen E. Thomas, Nunoura T and Urayama S. A new member of the family Totiviridae associated with arboreal ants (Camponotus nipponicus). Archives of Virology, 161(7): 2043-2045 (2016)
・Koyama S, Matsui S, Satoh T and Sasaki K. Octopamine and cooperation: octopamine regulates the disappearance of cooperative behaviours between genetically unrelated founding queens in the ant. Biology letters 11(6) (2015)
・Koyama S, Urayama S, Ohmatsu T, Sassa Y, Sakai C, Takata M, Hayashi S, Nagai M, Furuya T, Moriyama H, Satoh T, Ono S and Mizutani T.Identification, characterization, and full-length sequence analysis of a novel double-stranded RNA virus isolated from an arboreal ant, Camponotus yamaokai.Journal of General Virology 96(7):1930-1937 (2015)
・Takata M, Hayashi S, Thomas CE, Koyama S, Satoh T and Fugo H. Asynchronous hatching in the burying beetle, Nicrophorus quadripunctatus, maxmizes parental fitness. Journal of Evolutionary Biology 27(9): 1830-1836 (2014)
・ S. Koyama, T Takagi, S. J. Martin, T. Yoshida and J. Takahashi Absence of reproductive conflict during queen rearing in Apis cerana. Insectes Sociaux 56: 171-175 (2009)
・ S. Koyama, S. Fujita T. Hirota, T. Satoh, Y. Obara, H. Hoshino, A. Wada, V.N. Burkanov and K. Wada Genetic structure of Steller sea lion (Eumetopias jubatus) rookeries in the Sea of Okhotsk. Zoological Studies 47: 781-787 (2008)
・ S. Koyama and M.E.N. Majerus Interactions between the parasitoid wasp Dinocampus coccinellae and two species of coccinellid from Japan and Britain. BioControl 53: 253-264 (2008)
・ S. Koyama, K. Harano, T. Hirota, T. Satoh and Y. Obara Rearing of candidate queens by honeybee, Apis mellifera, workers (Hymenoptera: Apidae) is independent of genetic relatedness. Applied Entomology and Zoology 42: 541-547 (2007)

研究紹介

動物は生存し、繁殖して遺伝子を残すため、さまざまな行動形質を進化させています。たとえ一見生存や繁殖に不利な形質であっても、遺伝子を効率よく残せるなら、進化しうると考えられます。そのような形質の一つに、社会性昆虫における不妊のワーカーが挙げられます。

社会性昆虫とは女王やワーカーのようなカースト制を有する昆虫のことで、その代表ともいえるミツバチやアリはハチ目に属しています。ハチ目は単数倍数性という性決定様式を有しており、オスの染色体数はn、メスは2nとなっているため、同父姉妹間の血縁度が3/4である一方、異父姉妹間では1/4となり、女王が多回交尾する種では同一コロニーの個体間に血縁度の大きな違いが生じます。またオス-ワーカー間では、同じ個体間であってもオスとワーカーどちらの観点からみた血縁度であるかによって値が異なるという非対称が発生します。このような行動生態学的に面白い現象があるため、ハチ目昆虫の社会行動に関する研究は多いのですが、ハチ目昆虫と寄生者の関係についてはまだ分からないことがたくさんあります。他種においては寄生者が宿主を操作する例は多く、社会性ハチ目昆虫のような特殊な社会を有する種において、寄生者が宿主に及ぼす影響の解明は興味深いテーマだと思っています。ダニなどの寄生虫の他に、細菌やウィルス由来の因子などがハチ目に寄生していることが分かってきており、それらの因子が宿主を操作しているのか、カーストによって寄生に違いがあるのか等を調べることで、寄生者の実態解明を行っていこうと思っています。

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本学のテニュアトラック事業について

テニュアトラック制度は、若手研究者が資金を援助され、設備の充実から始め、自分の研究を立ち上げて進めていくことができるという点で大変優れた制度であると思います。制度上、一定期間内に業績をあげることを求められますが、企業における利益追求型の研究とは異なり、大学における研究と教育においては、学問の継続的な発展や人材の育成に貢献することが重要です。私は、この制度を用いて研究を進めていく中で最も重要なことは、目先の成果だけではなく、大学ならではの研究と教育の発展に将来的につながるよう、この制度の利点を活用していくことであると考えています。

今後の抱負

日進月歩で進歩する科学研究の中で自分の研究の位置を把握しながら、自己の研鑽を積むことのできる機会をいただいたと思っています。研究については上記のように進めていこうと思っていますが、教育に関しては農工大の学生が有する高い能力を発揮できる環境作りが第一に取り組むべき課題であると考えています。学生を含む教室員を研究チームとして機能させ、欧米の研究者と交流を持って研究を進めることで、研究成果を出していきながら、国際的に活躍できる人材の育成も同時に行えるような形を作ることができるように努力していきます。