お問い合わせはこちらから

国立大学法人東京農工大学
研究推進部 研究支援課

TEL 042-367-5944
FAX 042-367-5898

本事業は文部科学省科学技術人材育成費補助金の「テニュアトラック普及・定着事業」の補助を受けて実施しています。

メールでのお問い合わせはこちら

トップページ > テニュア取得教員の紹介 > 中嶋 吉弘

テニュア取得教員の紹介

中嶋 吉弘 (Nakashima Yoshihiro)

研究院 農学研究院
部門 物質循環環境科学部門
研究分野 環境化学教育研究分野
キーワード 夜間大気化学、窒素酸化物、分子分光学
URL
職歴

・2005年04月~2007年03月:国立環境研究所 大気圏環境研究領域ポスドクフェロー
・2007年04月~2008年09月:首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 RA
・2008年10月~2012年09月:首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 助教
・2012年9月~2017年09月:東京農工大学 大学院農学研究院 テニュアトラック助教
・2017年10月~現在 東京農工大学 大学院農学研究院 准教授(テニュア取得)

学歴

・九州大学理学部化学科 1999年卒業
・九州大学大学院理学研究科 分子科学専攻修士課程 2001年修了
・九州大学大学院理学府 分子科学専攻博士課程 2005年修了

受賞歴

・2007年:日本分光学会年次講演会 最優秀発表賞

主な論文・解説

・Yoshihiro Nakashima, Shungo Kato, Jim Greenberg, Peter Harley, Thomas Karl, Andrew Turnipseed, Eric Apel, Alex Guenther, Jim Smith, Yoshizumi Kajii, "Total OH reactivity measurements in ambient air in a southern Rocky Mountain ponderosa pine forest during BEACHON-SRM08 summer campaign", Atmospheric Environment, accepted.
・S. Kim, G. M. Wolfe, L. Mauldin, C. Cantrell, A. Guenther, T. Karl, A. Turnipseed, J. Greenberg, S. R. Hall, K. Ullmann, E. Apel, R. Hornbrook, Y. Kajii, Y. Nakashima, F. N. Keutsch, J. P. DiGangi, S. B. Henry, L. Kaser, R. Schnitzhofer, M. Graus, A. Hansel, W. Zheng, and F. F. Flocke, "Evaluation of HOx sources and cycling using measurement-constrained model calculations in a 2-methyl-3-butene-2-ol (MBO) and monoterpene (MT) dominated ecosystem", Atmos. Chem. Phys., 13, 2031-2044, (2013)
・Y. Nakashima, H. Tsurumaru, T. Imamura, I. Bejan, J. C. Wenger, Y. Kajii, "Total OH reactivity measurements in laboratory studies of the photooxidation of isoprene", Atmospheric Environment, 62, 243-247, (2012)
・J. P. DiGangi, S. B. Henry, A. Kammrath, E. S. Boyle, L. Kaser, R. Schnitzhofer, M. Graus, A. Turnipseed, J-H. Park, R. J. Weber, R. S. Hornbrook, C. A. Cantrell, R. L. Maudlin III, S. Kim, Y. Nakashima, G. M. Wolfe, Y. Kajii, E.C. Apel, A. H. Goldstein, A. Guenther, T. Karl, A. Hansel, and F. N. Keutsch, "Observations of glyoxal and formaldehyde as metrics for the anthropogenic impact on rural photochemistry", Atmos. Chem. Phys., 12, 9529-9543, (2012)
・A. Yoshino, Y. Nakashima, K. Miyazaki, S. Kato, J. Suthawaree, N. Shimo, S. Matsunaga, S. Chatani, E. Apel, J. Greenberg, A. Guenther, H. Ueno, H. Sasaki, J. Hoshi, H. Yokota, K. Ishii, Y. Kajii, "Study of air quality in urban central Tokyo - Comprehensive observations of total OH reactivity and reactive trace species", Atmospheric Environment, 49, 51-59, (2012)
・Y. Nakashima, N. Kamei, S. Kobayashi, Y. Kajii, "Total OH reactivity and VOC analyses for gasoline vehicular exhaust with a chassis dynamometer", Atmospheric Environment, 44, (2010), 468-475

研究紹介

大気中の窒素酸化物(NOx)は、特に光化学オキシダント生成の前駆物質として作用する重要な化学種であり、オキシダント濃度の増加傾向の原因を解明し、抑制を図るためには、窒素酸化物の生成(排出)量と消失量のより正確な把握と窒素酸化物が関与する大気化学反応過程の解明が鍵となります。NOxの生成(排出)量の推計は数多く報告されている一方で、消失量については依然として未解明な点が多く、特に夜間における窒素酸化物の消失量推計は未解明な点が多く存在します。夜間の主要な消失過程は、(1)硝酸ラジカル(NO3)とVOCs(特にアルケン類)との均一反応による有機硝酸の生成、(2)五酸化二窒素(N2O5)のエアロゾル表面との不均一反応による硝酸生成と考えられています。これらの消失過程はVOCsの種類やエアロゾルの粒径・化学組成により反応性が大きく異なります。またNO3とN2O5の存在量は地域(NO発生源が少ない都市郊外域とNO発生源に乏しい遠隔地)または季節(高温の夏季と低温の冬季)により大きく異なります。
私は主に夜間の窒素酸化物の消失に関与するNO3, N2O5の濃度測定と同時にNO3, N2O5の生成・消失過程に関与する大気微量成分(オゾン、NOx、VOCs、エアロゾル)の濃度測定を行っています。各物質の観測結果を下にNO3とN2O5の生成と消失過程を分離して検討するためのモデル計算を行ない、観測期間中の窒素酸化物の消失量の推計とその整合性を検討しています。また地理および季節要因によるNO3とN2O5の存在量の違いを考慮するために、都市郊外部と遠隔地における観測を通年で行なう予定です。

本学のテニュアトラック事業について

本学のテニュアトラック制度により、(1)スタートアップ資金の提供、(2)独立した研究室の確保、(3)メンター教員からの助言、(4)期間中の教育活動の軽減と大学運営活動の免除など、期間中に自分のやりたい研究に集中して行なえる環境を提供していただいています。また審査基準を達成することでテニュアトラック期間終了後のポストが確約されていることも、研究活動の大きな励みになると考えています。

今後の抱負

現在も日本国内では光化学オキシダント濃度の増加が問題となっています。また新興国ではこれからまさに大気環境問題への取り組みが始まります。大気汚染物質の代表格である光化学オキシダントは温室効果気体でもあり、PM2.5 に代表される微粒子はその中身によっては地球の温暖化にも寒冷化にも働きます。このような観点から,現在では大気汚染の研究は気候変動にも貢献すると考えられています。大気環境問題は古いようでまだまだ現在進行形であり、一朝一夕では解決できない複雑で困難な問題です。私の研究成果が単に大気汚染問題だけにとどまらず広く大気環境問題の解決に貢献できるように励みたいと思います。