国立大学法人東京農工大学
研究推進部 研究支援課
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職歴 | ・2006年04月~2008年03月:協同乳業株式会社 伊那酪農診療所 |
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学歴 | ・鳥取大学農学部獣医学科 2006年卒業 |
受賞歴 | |
主な論文・解説 | (2013.10現在) |
乳牛の泌乳量は、ここ数十年の間に改良によって飛躍的に向上しました。しかし、これに伴い乳牛の生理負担も増大するため、受胎率や妊娠率の低下といった繁殖性低下が生じ、酪農現場において深刻な問題となっています。この問題の解決に向けたアプローチの1つとして、高泌乳化に伴う栄養代謝生理の変化が視床下部-下垂体-性腺軸を中心とした繁殖機能に及ぼしている影響を明らかにし、受胎性を低下させる様々な繁殖障害に対して有効な治療法ならびに防除法を開発することが必要です。このような観点から、現在は次のような研究を進めています。
1.乳牛の栄養代謝と繁殖機能の関連
乳牛の栄養状態、泌乳、ストレスなどの生理機能の変化と繁殖機能との関係について検討し、繁殖機能の改善と受胎率の向上につながる飼養管理法に関して研究を進めています。特に私は、卵巣から分泌された直後のホルモンを高濃度に含む後大静脈血を採取するというユニークな研究手法を用いて、末梢血では観察することのできない卵巣ホルモンのパルス状分泌波形の解析を行っています。
2.乳牛の発情・排卵障害の治療および防除法の開発
最近の酪農現場では、”乳牛の発情が見つけられない”あるいは”授精適期と思って授精しても排卵しない”というケースが増加しており、これは受胎率の低下につながります。そこで、乳牛の発情・排卵障害が生じる背景の調査を進めると共に、繁殖領域における新しい治療薬としての期待が高まるキスペプチンやニューロキニン3受容体作動薬を用いた発情・排卵障害の治療法の開発を行っています。現在はヤギを研究に用いていますが、最終的には牛などの家畜やヒトへの応用を目指しています。
本学のテニュアトラック事業では、研究の立ち上げのスタートアップ資金の援助や教育・運営負担軽減等により、若手研究者が自らの研究を進めていく上でのサポート体制が整っていると伺っています。私は、このような大きなチャンスを頂き、研究活動に専念できることに大変感謝しております。