国立大学法人東京農工大学
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杉村 智史 (Sugimura Satoshi)
研究院 | 農学研究院 |
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部門 | 生物生産科学部門 |
研究分野 | 動物生殖学,家畜繁殖学 |
キーワード | ウシ,卵子,胚発生 |
URL | http://web.tuat.ac.jp/~fscenter/sugimura.html |
職歴 | ・2008年04月~2009年03月:東北大学大学院動物生殖科学分野 日本学術振興会特別研究員(PD) |
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学歴 | ・日本獣医畜産大学獣医畜産学部動物生命科学科 2003年卒業 |
受賞歴 | ※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください |
主な論文・解説 | ※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください |
現在,我が国で生産されている乳用牛の多くが人工授精もしくは体内受精卵移植技術に由来します.酪農家では人工授精が搾乳および雌雄の優れた資質を受け継いだ後継牛の生産を可能にする技術として一般的に利用されています.一方,体内受精卵移植技術は,過排卵処理を施したドナー牛に精液を交配させた後,複数の胚を採取し,得られた胚を他のレシピエント牛に移植することで,人工授精に比べより多くの優れた産子を獲得できます.しかし,高泌乳牛においては代謝的負荷により採胚不能になるケースがあることや,過排卵処理の継続的実施や高齢化により採胚率が低下するといった問題を抱えています.これらの問題を克服する手段として,生体卵巣から未成熟卵子を採取する経腟採卵(OPU)技術と体外受精(IVF)を組み合わせたOPU-IVF技術が注目されています.卵丘細胞-卵子複合体を生体から採取し,体外で卵子を成熟させ,体外で受精,そして体外で受精胚を発生培養することで体外生産(IVP)胚を作製する技術です.IVP胚をレシピエント牛に移植することで,優れた資質を受け継いだ産子を効率的かつ安定的に獲得できるだけでなく,酪農家の深刻な問題となっている空胎期間の延長を短縮し得る次世代型の乳牛繁殖システムです.つまり,効率的かつ安定的にOPU-IVF産子を得るにはIVP胚の作製技術が極めて重要となってくるのですが,IVP胚は体内生産胚に比べ発育性が低く,また出生後も過大子や産後直死といった異常が認められています.したがって,IVP胚作製技術の発展および改良が今後の『効率的かつ安定的な乳用牛の生産』を左右すると言えます.IVP技術に変革をもたらすことで,体外受精卵移植技術の実用化および普及を図り,酪農家の収益性の向上/安定を目指しています.
新たにラボを立ち上げ,運営することは不安であると同時に研究者としてのアイデンティティーを確立するうでの絶好のチャンスと考えています.そのためには,テニュア取得に必要な業績をあげることも重要ですが,この先数十年,研究者として生き残るための土台作りも大切です.本学のテニュアトラック制度は,目先の業績だけでなく,テニュア取得後の研究教育に関する未来構想を描けるよう,時間的,資金的および環境的に十分配慮されています.