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国立大学法人東京農工大学
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本事業は文部科学省科学技術人材育成費補助金の「テニュアトラック普及・定着事業」の補助を受けて実施しています。

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テニュア取得教員の紹介

岩井 紀子 (Iwai Noriko)

研究院 農学研究院
部門 自然環境保全学部門
研究分野 保全生態学、動物生態学
キーワード 両生類、水域生態系、奄美大島
URL https://sites.google.com/site/norikoiwaipage/
職歴

・2009年4月~2010年3月:森林総合研究所 特別研究員
・2010年4月~2011年7月:日本学術振興会 特別研究員(PD)
・2011年8月~2011年11月:国立環境研究所 特別研究員
・2011年12月~2013年12月:東京大学附属演習林 助教
・2014年1月~2018年12月:東京農工大学 テニュアトラック特任准教授
・2019年1月~現在:東京農工大学大学院農学研究院 准教授(テニュア付与)

学歴

・東京大学農学部 森林生物科学専修 2004年卒業
・東京大学大学院農学生命科学研究科 森林科学専攻 修士課程 2006年修了
・東京大学大学院農学生命科学研究科 森林科学専攻 博士課程 2009年修了

受賞歴

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2014.1現在)
・2009年 東京大学大学院農学生命科学研究科 平成20年度修了学位論文 研究科長賞

主な論文・解説

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2014.1現在)
・Iwai N (2013) Morphology, function, and evolution of the pseudothumb in the Otton frog. Journal of Zoology 289:127-133.
・Iwai N, Shoda-Kagaya E (2012) Population structure of an endangered frog (Babina subaspera) endemic to the Amami Islands: possible impacts of invasive predators on gene flow. Conservation Genetics 13: 717-725.
・Iwai N, Kagaya T, Alford RA (2012) Feeding by omnivores increases food available to consumers. Oikos 121: 313-320.
・Iwai N, Pearson RG, Alford RA (2009) Shredder-tadpole facilitation of leaf litter decomposition in a tropical stream. Freshwater Biology 54: 2573-2580.
・Iwai N, Kagaya T (2007) Positive indirect effect of tadpoles on a detritivore through nutrient regeneration. Oecologia 152:685-694.

研究紹介

近年、人間の活動によって生息地が破壊され、多くの生物が絶滅の危機に瀕していることが、世界的な問題となっています。人間の活動を完全に停止することは不可能であるため、人間の活動と生物の保全、両方のバランスをとり、持続的に共存できる世界を探っていく必要があります。しかしこれまで、生物保全では保全一辺倒になりがちで、人間の活動と生物への影響のバランスを科学的に解析した提言はあまりなされてきませんでした。そこで私は、人間活動と生物保全の両立策を科学的に提言する研究を目指し、環境指標種として最適な、カエルを対象生物とした研究を行っています。特に、現在、世界自然遺産登録を目指している奄美大島において、島の大部分を覆う森林を管理する際、人間活動(森林伐採や林道工事など)と稀少な生物の保全を両立させることをテーマとした研究を続けているところです。森林の管理状況やカエルの餌資源量のデータを収集して解析し、たとえば森林伐採の面積や時空間的間隔をどの程度に抑えれば生物への影響を小さくできるのか?を示すことのできる、保全モデルの作成を目指しています。
また、生物の保全の必要性を訴えるには、その生物が失われたらどのような影響が出るのか、の理解が必要です。特にカエルのような両生類の場合、水と陸を行き来するという性質上、水域生態系、陸上生態系それぞれで役割を担うとともに、水陸間の物質移動にも貢献しているはずです。カエルが果たしている役割を、水域生態系におけるオタマジャクシの役割、陸上生態系におけるカエル成体の役割、さらにそれらをつなぐ生物としての役割という面から解明したいと考えています。

本学のテニュアトラック事業について

学内外の先生方にサポートをいただき、研究に重きを置きつつ教育経験も積んでいくことができる制度と思います。メンターの先生をはじめ、専攻の先生方にも応援していただき、とても恵まれた環境です。同年代のテニュアトラック研究者が多くいること、また、情報交換の場があることも心強い点です。

今後の抱負

教務の軽減やスタートアップ資金など、恵まれている部分が多いだけに、支えてくださる方々に甘えすぎないよう、自分のやるべきことをしっかりやっていかねばならないと思います。研究実績を挙げることはもちろん、自分がこれからの研究人生で何に取り組むのか、自分の研究ときちんと向き合い、土台を固める期間にしたいと考えています。