国立大学法人東京農工大学
研究推進部 研究支援課
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トップページ > テニュア取得教員の紹介 > 中澤 靖元
職歴 | ・2003年4月~2004年3月:東京農工大学ベンチャービジネスラボラトリー非常勤研究員 |
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学歴 | ・東京理科大学理学部第Ⅱ部化学科 1998年卒業 |
受賞歴 | ※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください |
主な論文・解説 | ※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください |
私はこれまで、絹を中心とした天然繊維化合物について、固体NMR法を主な解析手法とした研究を行ってきました。また、これらの構造情報をもとに絹小口径人工血管の開発に取り組んでいます。
狭窄や閉塞した血管の治療として行われるバイパス手術において、内径6mm以上の中口径および大口径人工血管の場合、ポリエステル製およびePTFE製の人工血管が頻度高く用いられます。しかしながら、内径6mm以下の小口径人工血管では内膜の肥厚や血栓生成、炎症反応などが生じるため、医療現場において支障なく利用できる製品はありません。生体に優しく、生体になじみ、生体に適合する材料はまだできていないのが現状です。
そこで本研究では、絹を素材とした小口径人工血管の開発に取り組んでいます。 絹は生体適合性や強度の高さから優れた生体医療材料として近年注目されています。また、溶液状態にすることで、フィルム、スポンジ、不織布等、様々に成形加工が可能なことから、人工血管のみならず、角膜、骨再生の足場材、創傷被覆材等への応用が研究されています。本研究で行っている人工血管は「組みひも」技術を応用したものであり、ラット腹部大動脈(内径1.5mm)への移植評価を行いました。その結果、移植一年後の開存率が85%(n=27)と、市販人工血管の材料であるPTFE製人工血管の一年後の開存率30%と比べて、極めて高い開存率を得ることができました。現在では、絹とポリウレタンを混合することで、絹の生体適合性を有しながら弾力性を持ち合わせた人工血管も作製しています。移植評価においては、血管内腔に血管内皮細胞や平滑筋細胞、コラーゲンの存在も確認でき、血管再生材料として期待できるものとなりました。
テニュアトラックの魅力は、独立した研究環境で研究に取り組める事です。潤沢な研究費とメンター教員のご支援により、自立性と活躍の機会を与えて頂いていることに大変感謝しています。私のテニュアトラック教員としての研究活動は始まったばかりですが、この環境の中で、存分に研究・教育活動に専念させて頂きたいと思います。
また今後、本制度の普及により、若手研究者にとっても良い目標ができると思います。