国立大学法人東京農工大学
研究推進部 研究支援課
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渡辺 峻 (Watanabe Shun)
研究院 | 工学研究院 |
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部門 | 先端情報科学部門 |
研究分野 | 情報理論 |
キーワード | 情報理論的セキュリティ,多端子情報理論,量子情報 |
URL | https://sites.google.com/site/shunwatanabeshomepage/ |
職歴 | ・2007年4月〜2009年3月:日本学術振興会特別研究員(DC1) |
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学歴 | ・2005年3月:東京工業大学 工学部 情報工学科卒業 |
受賞歴 | ※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください |
主な論文・解説 | ※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください |
我々の研究室では情報理論の研究を行っています.特に,暗号•セキュリティに関連するテーマを主に取り組んでいます.近年の情報通信技術の発展に伴い,情報セキュリティは益々重要になってきています.現在インターネット等で広く使われている公開鍵暗号は現実的時間内には解読されないという意味での,いわゆる計算量的安全性が保証されています.一方,我々が研究対象としている情報理論的暗号は,攻撃者の計算資源に仮定をおかずに安全性が保証されることから,近年注目を集めています.しかしながら,そのような強い安全性を有するシステムを実現するためには,正規ユーザが相関のある信号を観測する等,様々なリソースを必要とし,それらのリソースを所望のタスクを実現するために如何に効率よく使うかといったことが重要になってきます.本研究室では,所望のタスクを安全に実現するための効率の理論限界を情報理論の立場から解明することを目指しています.研究成果の一部を以下に紹介します:
(1) 秘密鍵共有ならびに秘匿計算の非漸近的な上界の導出
秘密鍵共有とは,送受信者間で安全な通信を実現するための鍵(パスワード)を共有する問題で,暗号における最も基本的な問題のひとつになります.また,秘匿計算とは二人(もしくは複数)のユーザが,互いのデータを開示することなく所望の関数(例えばどちらの財産が大きいか?)を計算する問題で,こちらも暗号における基本的な問題のひとつになります.従来の研究では,これらのタスクの実現効率の上界について,漸近的な評価が主に行われていました.我々の研究では,統計的仮説検定をこれらのタスクに帰着させることで,非漸近的な上界を導出することに成功しました.
(2) 盗聴通信路における最適な乱数消費量の解明
盗聴通信路とは,例えば無線通信のように正規のユーザ以外にも送信信号が傍受され得る状況において安全な通信を行う際のモデルで,情報理論において長く研究されていました.盗聴通信路では通常,盗聴者を撹乱し安全な通信を実現するために,確率的符号化と呼ばれる,ひとつのメッセージに複数の送信信号を割り当てる符号化が使用されます.従来の研究では,この確率的符号化を実現する際には,無制限に乱数を使用できると仮定し研究されていました.我々の研究では,乱数も安全な通信システムを実現するためのリソースであると考え,乱数消費量まで考慮した際の最適な符号化法を解明することに成功しました.
若いうちから自分の研究室を運営し,独自のテーマで研究をする機会をいただけるのは,大変ありがたいことだと感じています.また,潤沢なスタートアップ資金に加え,大学運営業務の軽減等は,研究室をスタートさせ軌道にのせる上で非常に助けになります.まずはテニュアを取得し,大学に少しでも多く貢献できるよう頑張りたいと思います.