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国立大学法人東京農工大学
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テニュア取得教員の紹介

稲澤 晋 (Inasawa Susumu)

研究院 工学研究院
部門 応用化学部門
研究分野 反応工学、塗布乾燥の非平衡ダイナミクス
キーワード シリコン材料、ナノ材料、塗布乾燥での膜形成
URL http://web.tuat.ac.jp/~inasawa/
職歴

・2005年04月~2006年03月:日本学術振興会特別研究員(DC2)
・2006年04月~2007年03月:日本学術振興会特別研究員(PD)
・2007年04月~2008年10月:東京大学大学院工学系研究科 産学官連携研究員
・2008年10月~2013年03月:東京大学大学院工学系研究科 助教
・2013年04月~2018年03月:東京農工大学大学院工学研究院 准教授
・2018年04月~現在:東京農工大学大学院工学研究院 准教授(テニュア取得)

学歴

・2001年3月:東京大学工学部化学システム工学科 卒業
・2003年3月:東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻 修士課程 修了
・2006年3月:東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻 博士課程 修了 博士(工学)

受賞歴

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2013.4現在)
・平成22年度コニカミノルタ科学技術振興財団 画像科学奨励賞

主な論文・解説

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2013.4現在)
・Susumu Inasawa and Yukio Yamaguchi "Self-organiced pattern formation of cracks perpendicular to the drying direction of a colloidal suspension" Soft Matter, 2012, 8, 2416-2422.
・Susumu Inasawa and Yukio Yamaguchi "Formation of optically anisotropic films from spherical colloidal particles" Langmuir, 2009, 25, 11197-11201.
・Seiichi Ohta, Susumu Inasawa and Yukio Yamaguchi "Real time observation and kinetic modeling of the cellular uptake and removal of silicon quantum dots" Biomaterials, 2012, 33, 4639-4645
・Kohei Yamaguchi, Susumu Inasawa, Yukio Yamaguchi "Growth kinetics of needle-like silicon wires formed via the zinc reduction reaction of silicon tetrachloride" Journal of Physical Chemistry C, 2012, 116, 19978-19983.
・Norihisa Uesawa, Peng Shen, Susumu Inasawa, Akira Miyoshi and Yukio Yamaguchi "Kinetic study on gas phase zinc reduction of silicon tetrachloride" Chemical Engineering Journal, 2011, 168, 889-895.

研究紹介

私は、大きく分けて二つのテーマに取り組んでいます。一つは、反応によるシリコン材料の作り分け技術の確立です。四塩化ケイ素(SiCl4)ガスを、亜鉛の蒸気で還元すると、シリコン固体が生成します(亜鉛還元反応)。この反応は、数十年前から知られ、安価なシリコン製造経路として期待されてきましたが、反応経路や反応速度など、公知のデータがほとんどありませんでした。私は、この反応の反応解析を行い、その中で、針状シリコン(太陽電池用)や、マイクロ粒子(発光材料)、シリコンナノワイヤー(熱電変換材料)など同じ反応から多様な性質のシリコン材料が得られることを明らかにしてきました。形状やサイズが何で決まり、材料の物性にどう影響するか、を明らかにし、形や大きさを作り分ける反応工学に発展していきます。
二つ目は、分散液の塗布乾燥による膜形成です。塗布乾燥は、産業でも広く用いられていますが、そこで起こる現象は実に複雑で、理解が不十分なものが多々あります。例えば、固形成分の多いペースト状のインクを効率良く塗るにはどうするか、或いは、膜質を維持したまま乾燥速度を上げるにはどうするか、など製造の現場に共通した課題に対しても、現時点では試行錯誤で対処をすることがほとんどです。ペーストは、剪断場で粘性の低下や増加がおこりますが、これらが何故、どのように起こるのか。同様に、乾燥で起こるインクの濃縮や固体膜の形成が、どのように起こり、乾燥膜の構造に影響を与えるのか。それらのメカニズムを理解し、使いやすい形で知識を整理することが、二つ目のテーマの目標です。
いずれも産業に役立つ知識の集積・蓄積を目指して研究を進めています。

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本学のテニュアトラック事業について

メンター教員の配置やスタートアップ資金の提供など、研究室の立ち上げに様々な手厚いサポートを頂いております。若手の研究者が、責任を持って研究室を自ら運営するテニュアトラック制度は、大学教員を育成する非常に優れた制度であると思いますし、私自身が成長できるチャンスでもあります。国内で最も評価の高いテニュアトラック制度を運営する農工大には、同じテニュアトラック教員が多く在籍しています。そういう意味での心強さや仕事のやりやすさがあることは、農工大ならではの利点ではないでしょうか。

今後の抱負

産学連携が今後の大学の鍵を握ります。ものづくりの現場で問題になっている事柄の解決、特に、製造プロセスで頻繁に用いられる「反応」と「塗布乾燥」を対象に、現象の理解と効率的な制御を目指して、研究を進めます。会社が必要とする大事な基礎を研究する場として研究室を運営し、学生の教育に当たります。課題の解決を通じて、問題の本質を把握し、自ら考えて行動をする人材を育成していきたい。社会が必要とする人材の育成に貢献できれば、と思っています。