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国立大学法人東京農工大学
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テニュア取得教員の紹介

嘉治 寿彦 (Kaji Toshihiko)

研究院 工学研究院
部門 先端物理工学部門
研究分野 有機半導体エレクトロニクス
キーワード 有機薄膜太陽電池、薄膜成長、結晶成長
URL http://web.tuat.ac.jp/~kaji/
職歴

・2007年04月~2008年08月:東北大学金属材料研究所低温電子物性学研究部門 産学官連携研究員
・2008年09月~2014年11月:自然科学研究機構分子科学研究所 助教
・2010年11月~2011年02月:ロチェスター大学化学工学科 短期客員研究員)
・2014年12月~2019年11月:東京農工大学大学院工学研究院 准教授
・2019年12月~現在:東京農工大学大学院工学研究院 准教授(テニュア取得)

学歴

・東京大学理学部化学科 2002年卒業
・東京大学大学院理学系研究科化学専攻 修士課程 2004年修了
・東京大学大学院理学系研究科化学専攻 博士課程 2007年修了 博士(理学)

受賞歴

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2019.12現在)
・2011年:第31回応用物理学会講演奨励賞
・2013年:応用物理学会有機バイオエレクトロニクス分科会奨励賞

主な論文・解説

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2019.12現在)
・T. Kaji, S. Nakao, M. Hiramoto, "Effect of Co-evaporant Induced Crystallization on Needle Growth of Phthalocyanine Thin Films", Molecular Cryst. Liq. Cryst., 578, 63-67, (2013).
・T. Kaji, M. Zhang, S. Nakao, K. Iketaki, K. Yokoyama, C. W. Tang, M. Hiramoto, "Co-evaporant induced crystalline donor:acceptor blends in organic solar cells", Adv. Mater., 23, 3320-3325 (2011).
・M. Kubo, K. Iketaki, T. Kaji, M. Hiramoto,"Conduction-type control of fullerene films from n- to p-type by molybdenum oxide doping",Appl. Phys. Lett., 98, 073311 (2011).
・T. Kaji, T. Takenobu, A. Morpurgo, Y. Iwasa, "Organic single-crystal Schottky gate transistors", Adv. Mater., 21(36), 3689-3693 (2009).
・T. Kaji, S. Entani, S. Ikeda, K. Saiki, "Origin of carrier types in intrinsic organic semiconductors", Adv. Mater., 20, 2084-2089 (2008).
・T. Kaji, T. Shimada, H. Inoue, Y. Kuinobu, Y. Matsuo, E. Nakamura, K. Saiki, "Molecular orientation and electronic structure of epitaxial bucky ferrocene (Fe(C60(CH3)5)C5H5) thin films", J. Phys. Chem. B, 108(28), 9914-9918 (2004).
・嘉治寿彦,"有機薄膜太陽電池の有機半導体混合膜の共蒸発分子誘起結晶化法による結晶化",日本結晶成長学会誌,第41巻2号,96-101頁 (2014).
・嘉治寿彦,"真空蒸着中の液体同時蒸発による有機薄膜太陽電池の結晶化と相分離構造制御", 表面科学, 第35巻4号,184-189頁 (2014).

研究紹介

私は 有機半導体エレクトロニクスという分野で以下の研究をおこなってきました。
(1)有機半導体デバイス(太陽電池・トランジスタ・ダイオードなど)
(2)有機半導体薄膜構造制御・有機半導体結晶成長
(3)有機半導体電子状態制御
この中で特に最近は、以下の有機太陽電池について原理と効率との両面を睨んで研究に励んでいます。ペンキの原料などを精製した有機半導体は結晶になると高い電荷移動度と理想的な半導体特性を示す潜在能力があります。この潜在能力をnm~μmの複雑な入れ子構造(有機薄膜太陽電池の理想構造)で発揮させる技術を、独自に開発した真空蒸着時に液体分子を導入する共蒸発分子誘起結晶化法を活用して確立します。また、そのような系でのみ見出せる現象と物理法則とを結び付けて研究します。
また、上記の独自技術、共蒸発分子誘起結晶化法は、有機薄膜太陽電池のために考案した方法で、真空蒸着中に液体を導入することで有機混合膜の結晶化を促進します。しかし研究を進めるうちに、この手法は有機半導体の真空蒸着法の本質的な拡張法であることが明らかになってきており、この手法を様々な材料に適用するとともに、この薄膜成長法の原理も探究します。

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本学のテニュアトラック事業について

本学のテニュアトラック事業は、独立した研究室を持てることやテニュア取得後のポストが確保されていることなど、非常に魅力的な点が多いと思います。また、学生配属や授業担当もある上で、授業や他の業務の量が軽減されることは、テニュアトラック教員の無理ない成長につながり、テニュアトラック期間だけでなく、テニュアを取得した後の研究者・教育者としての人生を考えても、ありがたいことです。
信頼できる制度設計・運用のおかげで、テニュアトラック教員間での競争やテニュア取得のための評価を過度に意識することなく、自分自身がより良いPIや指導教員になることを純粋に目指すことができる環境が生み出されていると思います。

今後の抱負

本学に着任して学部学生と話ながら思い出すのは、自分自身がその頃、「将来、新しい太陽電池を作りたい」と心に決めたことです。初心を忘れずに研究に励んでいきます。その一方で、学生に対しては、人それぞれの将来の夢に向かって頑張れるよう、自ら考えることの大切さを伝えられるよう、努めていこうと思います。