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国立大学法人東京農工大学
研究推進部 研究支援課

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本事業は文部科学省科学技術人材育成費補助金の「テニュアトラック普及・定着事業」の補助を受けて実施しています。

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テニュア取得教員の紹介

一川 尚広 (Ichikawa Takahiro)

研究院 工学研究院
部門 生命機能科学部門
研究分野 機能有機材料化学
キーワード 双連続キュービック液晶、ジャイロイド極小界面、リオトロピック液晶、イオン液体
URL http://web.tuat.ac.jp/~ichikawa/index.html
職歴

・2008年 4月~2010年9月:日本学術振興会(特別研究員(DC1))
・2010年10月~2015年5月:東京農工大学 助教
・2014年10月~2018年3月:JSTさきがけ「超空間制御と革新的機能創成」 領域研究者 (兼任)
・2015年6月~2020年5月:東京農工大学大学院工学研究院 テニュアトラック特任准教授
・2020年6月~現在:東京農工大学大学院工学研究院 准教授(テニュア取得)

学歴

・2006年3月:東京大学 工学部 化学生命工学科 卒業
・2008年3月:東京大学大学院 工学系研究科 化学生命工学専攻 修了
・2010年9月:東京大学大学院 工学系研究科 化学生命工学専攻 中退

受賞歴

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2020.6現在)
・2007年第 18 回日本MRS 学術シンポジウムにおいて講演賞を受賞
・2012年日本液晶学会討論会において虹彩賞を受賞
・2013年第 1 回関博雄記念賞受賞
・平成27年度高分子研究奨励賞
・2019年 日本液晶学会奨励賞
・2019年 日本液晶学会論文賞C部門

主な論文・解説

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2020.6現在)
・N. Uemura, T. Kobayashi, S. Yoshida, Y. Li, K. Goossens, X. Zeng, G. Watanabe, T. Ichikawa*, Angew. Chem., Int. Ed., 59, 8445-8450 (2020)
・T. Ichikawa*, T. Kato, H. Ohno*, Chem. Commun., 55, 8205 (2019)
・T. Kobayashi, Y. Li, A. Ono, X. Zeng, T. Ichikawa*, Chem. Sci., 10, 6245-6253 (2019)
・T. Kobayashi, T. Ichikawa*, T. Kato, H. Ohno, Adv. Mater., 29, 1604429 (2017)
・T. Kato*, M. Yoshio, T. Ichikawa, B. Soberats, H. Ohno, M. Funahashi, Nature Reviews Materials, 2, 17001 (2017)
・T. Ichikawa, T. Kato, H. Ohno*, J. Am. Chem. Soc., 134, 11354 (2012)
・T. Ichikawa, M. Yoshio, A. Hamasaki, J. Kagimoto, H. Ohno, T. Kato*, J. Am. Chem. Soc., 133, 2163 (2011)
・T. Ichikawa, M. Yoshio, A. Hamasaki, T. Mukai, H. Ohno, T. Kato*, J. Am. Chem. Soc., 129, 10662 (2007)

研究紹介

分子の自己組織化を巧みにプログラムすると、トップダウン型のアプローチでは決して創りえない精巧なナノ構造体を生み出すことができる。このような自己組織性物質の中でも、液晶は、動的な性質も兼ね備えた構造材料であるため、近年、ソフトマテリアルの分野において幅広く注目されている。
我々は、この液晶分子が自己組織的に形成する集合構造の中でも、双連続キュービック液晶として分類される液晶が形成する”ジャイロイド構造”に特に注力して研究を進めています。双連続キュービック構造は三次元的に連続的なチャンネルドメインとそれを取り巻く連続ドメインからなっており、その連続性ゆえの特性を発揮する。また、ナノレベルで精緻な構造であるため、ナノスケール由来の特性発現も期待できる。
この双連続キュービック液晶は液晶材料の中でも珍しい液晶相であり、この液晶材料を「如何に設計するか」及び「その機能をデザインするか」が重要な課題と考えている。
具体的には以下の研究に取り組んでいます。
1) イオン液体設計を駆使した双連続キュービック液晶の開発
2) 双連続キュービック構造を利用した高速プロトン伝導界面の創成
3) ゲスト分子機能場としての双連続キュービック液晶の利用

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本学のテニュアトラック事業について

テニュアトラック特任准教授として着任したばかりの時は、研究面でも教育面でも研究設備の面でも未熟でしたが、テニュアトラック期間の5年間の間に、スタートアップ資金・メンター制・事務業務の支援・学生指導の機会を十二分にいただけたことなどを通して、大きく成長できたと深く感謝しております。特に、多くの学生と共にゼロから様々なものを作り上げ一所懸命に頑張れたことは、今後の研究者人生の大きな財産です。是非、若い研究者の皆様もこの本学の制度をご活用いただければと思います。

今後の抱負

これまで私は「新しい材料を生み出したい!」という思いの下、シーズ先行型に近いスタンスで研究を推進してきた。「材料(マテリアル)」という研究領域において、早い段階でプライオリティーを確立し、自身のオリジナルの「武器」を手に入れておこうと考えていたからである。幸運にも、これまで私は「ジャイロド(左図)」という興味深い構造を形成する材料を開発することができた。今後は、これらの「武器」を駆使し、新たな研究要素を巧く取り込み、単にオリジナリティーが高いだけではなく、工学的ニーズを意識した研究展開も推進していきたい。また、一人の大学教員としてポストをいただいて研究を続けさせていただく機会をいただけたからには、「最先端の学術の開拓」に繋がるような研究・発見を進められるように頑張っていきたいです!