国立大学法人東京農工大学
研究推進部 研究支援課
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本事業は文部科学省科学技術人材育成費補助金の「テニュアトラック普及・定着事業」の補助を受けて実施しています。
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職歴 | ・2010年05月~2013年07月:フランスポールサバティエ大学 博士研究員 |
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学歴 | ・2005年03月:東京農工大学応用分子学科卒業 |
受賞歴 | ・2018/10/25優秀ポスター発表賞「メカノケミカル法を用いた Cation-Disordered Li3VO4の合成と負極特性評価」 |
主な論文・解説 | ・2020/01/27共著Noncrystalline Nanocomposites as a Remedy for the Low Diffusivity of Multivalent Ions in Battery CathodesChemistry of Materials
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高効率な電気エネルギー貯蔵(蓄電)・物質変換・イオン資源回収を可能とする新規ナノ複合材料の創製とその評価・解析を中心に研究を行っています。具体的には、「ナノ結晶中のイオン配列の原子レベルでの制御による電気化学反応の高速化・高効率化」を軸として、高速な充放電(蓄電)、粒子表面における高効率な触媒反応(物質変換)、混合イオン溶液から結晶中への選択的なイオン脱挿入(イオン資源回収)、これらを実現可能とする新規化合物創製を目指しています。
原子レベルでの制御の一例として、「Cation-disorder化」があります。これは、結晶内に存在するカチオンとアニオンの規則的配列のうち、アニオンの骨格を保ったままカチオンの配列だけを無秩序化(乱雑化)した構造をもつ結晶を合成する手法です。カチオンが目的とする酸化還元反応を担っている場合、結晶内のカチオン配列無秩序化によって、酸化還元反応の反応形態が変わったり、反応の熱力学的エネルギー準位に分布が生まれることがあります。これによって、一つ一つの反応の障壁や反応に伴う変化が小さくなり、反応の低抵抗化やエネルギー収支の高効率化に繋がります。充放電高速化や高効率化を可能とする新規蓄電デバイスが可能となると考えています。またcation-disorder化手法の選択(電気化学・メカノケミカル・元素置換等)によって、無秩序化する対象を反応に関与するカチオンに制限(部分的cation-disorder化)できることも見出しています。これらの作り分けによって、実用上で求められる性能に合わせて、結晶がもつ反応特性を自在に制御可能とすることが究極の目標の一つです。
本学のテニュアトラック制度では、5年間という短い任期の中で一定以上の業績を達成する必要があります。これに対し、研究室立ち上げに必要なスタートアップ資金の提供、大学や各専攻の教職員からの手厚いサポートなどがあり、自身の研究室運営に早くから集中できる環境が整っていると感じています。また、メンター教員制度によって不慣れな局面においても適切な助言を頂くことが可能です。そのほかにもテニュアトラック教員同士の情報交換の機会も定期的に設定されています。
本学において、独立したPIとして研究室を立ち上げることができ、大変幸運と感じるとともに、この機会に大変感謝しております。この恵まれた環境を生かして学生の教育・育成に励み、また学生の成長が自身への成長に繋がる様な正のスパイラルを構築したいと考えております。