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国立大学法人東京農工大学
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本事業は文部科学省科学技術人材育成費補助金の「テニュアトラック普及・定着事業」の補助を受けて実施しています。

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テニュア取得教員の紹介

村上 智亮 (Murakami Tomoaki)

研究院 農学研究院
部門 動物生命科学部門
研究分野 獣医毒性学 獣医病理学 フォールディング異常病
キーワード アミロイド,伝播,家畜動物,実験動物
URL http://web.tuat.ac.jp/~tatlvt/indexm.html
職歴

・2010年06月~2010年09月:帯広食肉衛生検査所と畜検査員(非常勤)
・2013年04月~2013年09月:日本学術振興会特別研究員(DC2)
・2013年10月~2013年10月:日本学術振興会特別研究員(PD)
・2013年11月~2018年10月:東京農工大学 農学研究院 テニュアトラック助教
・2018年11月~現在:東京農工大学大学院農学研究院 准教授(テニュア取得)

学歴

・2010年3月 帯広畜産大学畜産学部獣医学科卒業
・2013年9月 岐阜大学大学院連合獣医学研究科修了(獣医学)

受賞歴
主な論文・解説

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2018.11現在)
・Murakami T*, Muhammad N, Inoshima Y, Yanai T, Goryo M, Ishiguro N. Experimental induction and oral transmission of avian AA amyloidosis in vaccinated white hens. Amyloid. 20(2): 80-85, 2013.
・Murakami T, Ishiguro N, Higuchi K. Transmission of Systemic AA Amyloidosis in Animals. Veterinary pathology, 51(2): 363-371, 2014.
・Murakami T, Inoshima Y, Ishiguro N. Systemic AA amyloidosis as a Prion-like disorders. Virus Research, 207: 76-81, 2015.
・Tsukawaki S, Murakami T*, Suzuki K, Nakazawa Y. Studies on the potential risk of amyloidosis from exposure to silk fibroin. Biomedical Materials 11(6):065010, 2016.
・Nakayama Y, Kamiie J, Watanabe G, Suzuki K, Murakami T*. Spontaneous, experimentally induced and transmissible AA amyloidosis in Japanese quail (Coturnix japonica). Veterinary Pathology 54(6):912-921, 2017.
・Harata D, Tsuchiya Y, Miyoshi T, Yanai T, Suzuki K, Murakami T*. Inhibitory effect of propolis on the development of AA amyloidosis. Journal of Toxicologic Pathology 31(2):89-93, 2018.

研究紹介

アミロイド症は、細胞内で作られる蛋白が小胞体内で正常に折り畳まれず、異常な折り畳み(misfolding)により構造異常を起こして、臓器に沈着することによって生じるヒトや動物の致死的な疾患です。そのためアミロイド症はfolding異常病として知られ、原因となる前駆蛋白質は多種類に及びます。引き金となる疾患として慢性関節リウマチ,結核,気管支拡張症などの慢性炎症性疾患や悪性腫瘍が知られていますが、その発生機序はよくわかっていません。
近年、牛や家禽の骨格筋にアミロイド沈着が見出され、これらのアミロイドを実験的に別の動物に摂取させることにより、異種動物間でのアミロイド症の伝播が成立することから、家畜からヒトへのアミロイド症の伝播が危惧されるようになって来ています。一方、アミロイド摂取は生体内でのアミロイド形成の引き金になりうるものの、アミロイドが進行性に蓄積してアミロイド症を発症するためには更に別の要因が関与することが考えられます。その重要な要因として微生物感染や何らかの毒性影響が挙げられ、それによって生じる免疫系の変調がアミロイド症の発症に関わると予想されますが、それらの生体反応はいまだ不明なままです。
私の研究では、AAアミロイド症を実験的に伝達・発症する動物モデルを用いて、環境化学物質暴露によって生じる生体反応と、アミロイド前駆蛋白の生成やmisfolding蛋白の出現の過程との関係を毒性病理学的に明らかにすることで、ヒトや動物アミロイド症発症の環境リスク発生の過程を解明し、国民の食の安全に寄与することを目指しています。

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本学のテニュアトラック事業について

私の様な大学院を出立ての人間にとって、人材の育成に重きを置く本学のテニュアトラック事業は、今後研究者として、また教育者として成長できる非常に大きなチャンスであると考えています。大学は教育機関であると同時に研究機関でもあります。潤沢な資金と先輩教官からの指導を受けつつ研究に専念できることから、論文数や予算獲得等の研究実績で評価されるのは妥当であると思います。この5年間で十分な経験を積み、これからの国際水準の獣医学教育を担う教員の一人になれるよう努めたいと思います。

今後の抱負

研究者一人に出来ることは限られています。私は各種研究会等に参加する中で、他分野の研究者と連携を取り、今後新たな研究領域を開拓していこうと考えています。特に私の専門であるアミロイド研究は各分野からの多面的なアプローチが病態の解明につながるものであるため、外部の研究機関との共同研究にも積極的に取り組んでいきたいと思います。
また私は、研究はもちろんのこと、教育にも積極的に関わっていきたいと考えています。学生さんに獣医学研究が魅力ある研究領域であることを理解してもらい、彼らの疑問には適切なアドバイスを与えていけるような環境を作ることは、私自身の研究者としての成長につながるものであると考えます。