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国立大学法人東京農工大学
研究推進部 研究支援課

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本事業は文部科学省科学技術人材育成費補助金の「テニュアトラック普及・定着事業」の補助を受けて実施しています。

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テニュア取得教員の紹介

新村 毅 (Shimmura Tsuyoshi)

研究院 農学研究院
部門 生物生産科学部門
研究分野 畜産学
キーワード 動物行動学、動物福祉
URL https://tsuyoshishimmura.wixsite.com/website-1
職歴

・2007年04月~2009年03月:日本学術振興会特別研究員DC1(麻布大学・田中智夫研究室)
・2009年04月~2013年03月:日本学術振興会特別研究員PD(名古屋大学・吉村崇研究室)
・2013年04月~2013年05月:名古屋大学研究員
・2013年06月~2016年11月:基礎生物学研究所特任助教/総合研究大学院大学助教
・2016年11月~2019年11月:東京農工大学大学院農学研究院(テニュアトラック推進機構) 准教授(テニュアトラック・卓越研究員)
・2019年11月~2021年09月:東京農工大学大学院農学研究院 准教授(テニュア取得)
・2021年10月~現在:東京農工大学グローバルイノベーション研究院(農学研究院兼務) 教授(キャリアチャレンジ)

学歴

・2005年03月:麻布大学獣医学部 卒業
・2007年03月:麻布大学大学院獣医学研究科博士前期課程 修了
・2009年03月:麻布大学大学院獣医学研究科博士後期課程 早期修了

受賞歴

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2020.4現在)
・2020年:科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
・2019年:農学進歩賞
・2014年:日本畜産学会奨励賞

主な論文・解説

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2016.11現在)
・Shimmura T, Ohashi S, Yoshimura T. The highest-ranking rooster has priority to announce the break of dawn. Scientific Reports 5, 1-9 (2015). Top 100 read Scientific Reports article in 2015.
・Nakane Y, Shimmura T, Abe H, Yoshimura T. Intrinsic photosensitivity of a deep brain photoreceptor. Current Biology 24 (13), R596–R597 (2014). Featured in Current Biology Dispatch and selected for cover picture.
・Shimmura T, Yoshimura T. Circadian clock determines the timing of rooster crowing. Current Biology 23 (6), R231-R233 (2013). Selected for cover picture.

研究紹介

家畜福祉(アニマルウェルフェア)とは、家畜の快適性を確保することで、生産性を向上させ、さらに安全で人類の健康に寄与する高付加価値の畜産物を生み出すことを意図しています。21世紀以降、家畜福祉はグローバルスタンダードとなり、従来型の集約管理システムは世界的に禁止の方向に進んでいます。私は、家畜福祉上の課題を解決するために、動物の行動、特に発声を集団レベルから分子レベルに至るまで多階層的に理解する研究を推進してきました。イヌの「ワン」やカエルの「ゲコ」のように、ほとんどの動物は学習を必要としない先天的発声を用いてコミュニケーションを行っていますが、その制御機構は、いかなる生物においても明らかにされていません。私は、ニワトリの「コケコッコー」をモデルとして、それが体内時計と社会的順位によって厳密に制御されていることを明らかにしました。また、発声のパターンやモチベーションを支配している分子基盤を明らかにしてきています。これからは、工学や情報学の技術を用い、動物の音声コミュニケーションや行動を自動定量して理解し、さらに人が音を使ってそれを操作する研究にも取り組みます。また、最新の分子生物学的技術を駆使し、共喰いという社会行動の破綻機構を明らかにし、共喰いの少ない品種の作出にも挑戦します。このような研究の実現により、遺伝要因・環境要因とそれらの相互作用、すなわちエピジェネティックスを含めて動物の行動を統御した革新的管理システムが構築できると考えています。それにより、生産性を量的にも質的にも向上させると共に、人と動物が共生する持続的社会を構築する礎となることを期待しています。

本学のテニュアトラック事業について

農工大のテニュアトラック事業の最大の魅力は、独立した研究室やグループを立ち上げ、自由な発想で独自の研究を進めて行けることだと思います。また、できる限り研究に専念できるように、教員や事務の方々のサポート体制が充実しており、研究に集中できる環境が整っています。さらに、テニュアトラック教員が一同に会する交流会も定期的に開催され、農学と工学の協奏でブレークスルーを目指す私にとっては、有機的なつながりを生む貴重な場になっています。その中では、農工大が得意とする産学連携活動や知的財産の活用方法、外部研究資金獲得に関する講演もあり、新任PIにとって非常に有意義な機会が提供されています。

今後の抱負

独立して研究できる環境を与えて頂いたので、「自分色」の研究を展開して行きたいと思っています。私の研究の特色は、応用的な視点から社会の現場において重要な課題を発見し、必要なあらゆる科学技術を投入して解決することにあります。このような重要課題に対し、我が国が有するユニークな材料と、私が持っている領域横断的な技術を結集して解決することで、世界中で自分にしかできない独創的な研究を推進したいと思っています。実験自体はローカルな場所で行うものですが、グローバルに注目される研究に昇華するよう邁進して行きたいと思っています。