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国立大学法人東京農工大学
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テニュア取得教員の紹介

齊藤 亜紀夫 (Saito Akio)

研究院 工学研究院
部門 応用化学部門
研究分野 有機合成化学
キーワード 複素環合成、ヨウ素、連続反応
URL http://web.tuat.ac.jp/~akio-sai/
職歴

・2001年04月~2005年03月:東京薬科大学 薬学部 助手
・2005年04月~2007年03月:昭和薬科大学 助手
・2007年04月~2008年03月:昭和薬科大学 助教
・2008年04月~2012年04月:昭和薬科大学 講師
・2012年05月~2017年04月:東京農工大学 大学院工学研究院 准教授
・2017年05月~現在:東京農工大学 大学院工学研究院 准教授(テニュア取得)

学歴

・東京薬科大学 薬学部 製薬学科 1997年卒業
・東京薬科大学 薬学研究科 博士前期課程 1999年修了
・東京薬科大学 薬学研究科 博士後期課程 2001年中退
・東京薬科大学,博士(薬学) 2003年学位取得

受賞歴

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2012.5現在)
・日本薬学会関東支部奨励賞(2008年)
・Poster Award in OMCOS-14 (The 14th International Symposium on Organometallic Chemistry Directed towards Organic Synthesis)(2008年)

主な論文・解説

※最新情報は教員のWebサイトをご覧ください
(2012.5現在)
・A. Saito, A. Kanno, Y. Hanzawa, "Synthesis of 2,3-Disubstituted Indoles by a Rhodium-Catalyzed Aromatic Amino-Claisen Rearrangement of N-Propargyl Anilines", Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 3931-3933.
・A. Saito, M. Umakoshi, N. Yagyu, Y. Hanzawa, "Novel One-Pot Approach to Synthesis of Indanones through Sb(V)-Catalyzed Reaction of Phenylalkynes with Aldehydes", Org. Lett. 2008, 10, 1783-1785.
・A. Saito, T. Konishi, Y. Hanzawa, "Synthesis of Pyrroles by Gold(I)-Catalyzed Amino−Claisen Rearrangement of N-Propargyl Enaminone Derivatives", Org. Lett. 2010, 12, 372-374.
・A. Saito, T. Anzai, A. Matsumoto, Y. Hanzawa, "PIFA-Mediated Oxidative Cycloisomerization of 2-Propargyl-1,3-Dicarbonyl Compounds: Divergent Synthesis of Furfuryl Alcohols and Furfurals", Tetrahedron Lett. 2011, 52, 4658-4661.

研究紹介

複素環骨格は、医・農薬や機能性材料などの多くの化学物質に見られる重要な骨格です。しかしながら、汎用されている複素環合成法の多くは、1)過酷な反応条件、2)多段階の合成反応、3)化学両論量の試薬などを必要とします。環境に調和した合成反応を重要視されている現代社会において、有用な複素環化合物を効率良く供給していく上で、新規かつ効率的な複素環合成法の開発は重要な課題です。一方、遷移金属錯体などを触媒とする炭素-炭素あるいは炭素-ヘテロ原子結合形成反応は、温和な条件で原子効率性の高い合成反応を可能とし、近年では多数の結合形成反応を一段階で進行させる連続反応も見出されてきています。このような連続反応は合成経路の短工程化や後処理の簡略化に寄与するだけでなく、同一触媒系で複数の反応を引き起こすことから排出物の軽減にも繋がります。このような観点から、新規かつ効率的な複素環合成法の開発を指向して、金属触媒などを用いた連続的な結合形成反応や多成分連結型反応に関する研究に取り組んでいます。以下の複素環合成法は、最近開発した反応の一部です。

a) クライゼン転位反応を基盤とするドミノ型複素環合成法:Rh(I)やAu(I)触媒を用いた環化誘起型アミノクライゼン反応経由するインドールやピロールの合成法
b) ヘテロ-エンインメタセシス反応を基盤とするドミノ型複素環合成法:Lewis酸や Brønsted酸を用いた多官能基性キノリン化合物の合成法
c) 超原子価ヨウ素試薬を用いる側鎖修飾型複素環合成法:金属触媒を必要としない酸化的環化反応を利用するオキサゾールやフランの合成法

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本学のテニュアトラック事業について

本学のテニュアトラック教員には、高額なスタートアップ資金の支給や初期の学内業務の軽減などの優遇措置があるので、私のような若手研究者が独立した研究室運営を行っていく上で恵まれた環境にあります。また、テニュア付与審査に関する基準がテニュアトラック教員間での競争的な評価ではなく、個人の業績に対する絶対的な評価であることから、自分の努力次第でテニュア付与が実現可能となります。研究室運営の責任やテニュア付与審査などのプレッシャーもありますが、真の「自立した研究者」として研究活動に取り組みたいと考えています。

今後の抱負

連続反応を基盤とする有機合成反応は現在注目されている研究分野の一つであり、このような研究を複素環合成法に応用することにより、有用な化学物質を効率的に供給できるものと考えております。そこで、本研究を通して学生たちと共に切磋琢磨していき、興味深い発見や大きな研究成果が見出せるよう、研究を推進していきたいと思います。また、教職員の責務として、社会で活躍できる人材を輩出できるよう、よりよい指導・教育を行なっていく所存です。